令和6年度地域別最低賃金の改定目安について

8月上旬というと、夏真っ盛り!まだまだ暑さは厳しいけれど、
そろそろ秋以降の業務について確認しておかないと…という時期でしょうか。
こちらのコラムでは毎年最低賃金の引上げ目安についての話題を取り上げる時期です。

今年も先月25日に中央最低賃金審議会が行われ、
今年度の地域別最低賃金額改定の目安について答申が取りまとめられました。
毎年、都道府県の経済状態に応じてランク分けされた引き上げ額目安が示されますが
今年は下表の通りのA、B、C3つのランクで、
それぞれAランク、Bランク、Cランクすべてにおいて引き上げ額50円という目安が提示されました。

                                厚生労働省 報道発表資料「令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について」より

この答申を参考に、各地方最低賃金審議会では、地域の諸事情を勘案して答申を行い、
各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することとなります。

既に今月に入って東京・神奈川・埼玉・千葉では目安通り、現在の最低賃金を50円引き上げ
それぞれ、1,163円、1,162円、1,078円、1,076円に改正することが適当であるとの答申が行われております。

今後は諸手続きを経て、最低賃金額が決定されますが、
現時点で上記の一都三県では、改正後の最低賃金額の発行日を10月1日に予定しています。

今年度、目安どおりに各都道府県で引上げが行われますと
全国の加重平均は1,054円(引上げ率も5.0%)となり、
昭和53年度に目安制度が始まって以降、最高額となります。
これは物価の動向や、今年の春闘での賃金の上昇率、企業の賃金支払い能力等を踏まえて決定されました。

この企業の賃金支払い能力については、
大企業と中小企業・小規模事業者で大きな差が生じていることから
審議会では、中小企業・小規模事業者が継続的に賃上げできる環境整備の必要性
(生産性の向上、価格転嫁対策等…)を政府に強く要望しています。

今年6月に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2024年改訂版」では
2030年代半ばまでに最低賃金の全国平均が1,500円となることを目指す目標について
より早く達成できるようにすると明記されており、
来年以降も引き続きこの目標に向けて、最低賃金の引上げが行われていくと考えられます。

これらのことを踏まえて、
生産性向上の支援策として強化されている助成金の利用なども検討しながら、
・社内で新しい最低賃金を下回る方がいらっしゃらないか、
・賃上げによって扶養や社会保険の加入要件にかかる方がいらっしゃらないか
などの確認を行い、10月以降への準備を確実に進めてまいりましょう。

ご参考:
●内閣官房
 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版
●厚労省
 令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について
 最低賃金引上げ特設ページ

最低賃金額以上かどうかを確認する方法
●東京労働局
 東京都最低賃金の50円引上げを答申
●神奈川労働局
 神奈川県最低賃金額50円の引上げへ-本日、神奈川地方最低賃金審議会が答申-【賃金室】 

●埼玉労働局
 令和6年度埼玉県最低賃金の改正を答申 プレスリリース
●千葉労働局

 千葉県最低賃金の50円の引上げを答申