熱中症対策が事業主の義務に

気温の高まりとともに、今年も厚生労働省では5月から9月までの期間
「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施しています。

近年の夏は本当に厳しい暑さが続きますよね。
職場でも熱中症のリスクは年々高まっており、
昨年(令和6年)は熱中症による労働災害で休業4日以上となった方は1,195人、死亡者は30人に上っています
とくに建設業・製造業での発生率が高く、全体の約4割を占めています。
中でも「WBGT(暑さ指数)」を把握していなかったケースや、
緊急時の対応手順が従業員に周知されていなかったケースが多くみられたそうです。

これらの状況を受け、令和7年(2025年)6月1日から、労働安全衛生規則が改正され、
事業者は、職場での熱中症対策を強化することが義務付けられます。

今回はその改正について中心に熱中症対策についてご案内します。


1.改正のポイント「体制の整備」と「周知」

今回の改正では、熱中症を生ずるおそれのある作業(※)を行う場合に、
以下の対応が義務付けられることになりました。

① 報告体制の整備

熱中症の症状を感じた作業者や、それに気づいた人が、
すぐに報告できるように、事業場ごとに連絡先や担当者を明確に定め、関係者に周知しておくこと。

② 緊急時の対応手順の整備

熱中症のおそれがある人を把握した場合、迅速・的確な判断が可能となるよう
・作業からの離脱
・身体を冷やす処置
・医療機関への搬送
・事業場における緊急連絡先や搬送先の確認
といった具体的な対応手順を事前に定め、関係者に周知することが求められます。

熱中症を生ずるおそれのある作業とは?

WBGT(暑さ指数)が28度以上、または気温が31度以上の作業場で、
1時間以上連続、または1日4時間を超える作業が見込まれる場合です。


2.熱中症予防のために、職場でできること

熱中症は、ちょっとした体調不良や油断が引き金になることも少なくありません。
職場ではぜひ以下のようなチェックポイントを意識してみてください。

「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」より引用

少しでも異変を感じたら「無理をしない」「すぐに報告」。
いつもと違うと思ったら、すぐに熱中症を疑うことが重要です。

3.さいごに

今回の改正により、「熱中症を疑ったらどこに報告をすればいいのか」「どのように対処したらいいのか」を
明確にすることが企業に求められています。
熱中症のおそれがある場合、早期に発見し、迅速・適切に対処することが重篤化の防止につながります。
暑い夏を安全に乗り切るためにも、対応の徹底に努めていきましょう。
今年の夏もゼロ災で!

(ご参考)
厚生労働省
 STOP!熱中症 クールワークキャンペーン
 「令和6年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(速報値)
 職場における熱中症ポータルサイト
 中小企業の事業主、安全・衛⽣管理担当者・現場作業者向け働く人の今すぐ使える熱中症ガイド
 労働安全衛生規則の一部を改正する省令
  「職場における熱中症対策の強化について」パンフレット
  「職場における熱中症対策の強化について」リーフレット

環境省
 職場における熱中症の対策強化について