令和8年(2026年)4月施行|治療と就業の両立支援(努力義務化)のポイント
令和8年(2026年)4月1日から、「治療と就業の両立支援」に関する対応が企業の努力義務となりました。
とはいえ、「具体的に何をすればいいの?」と戸惑っている担当者の方も多いのではないでしょうか。
今回のコラムでは、「実際に会社として何をすればよいのか」という点に絞って、指針や努力義務の内容についてポイントを整理してご紹介します。
1.努力義務化の背景
医療の進歩や高齢化の影響により、通院しながら働く方は年々増えており、厚生労働省の資料によりますと、令和4年(2022年)の国民生活調査では何らかの疾患で通院している就業者は3人に1人を超えているという結果もあります。
今後ますます、病気の治療と就業の両立は、多くの企業にとって身近な課題となっていくことが予想されます。
従業員が治療を続けながら働く場面は、今やどの企業でも起こり得るものとなっています。
また、治療を理由に退職した方の中には、治療開始前の段階で離職してしまうケースも見られます。
こうした早期離職を防ぐためにも、「相談しやすい環境づくり」の重要性が高まっています。
2.両立支援を行うにあたっての留意事項
努力義務化に先立ち、厚生労働省から公表された「治療と就業の両立支援指針」では、両立支援を適切に進めるための留意事項として、以下の9つが示されています。
指針が示す留意事項
- 安全と健康の確保
- 本人の治療への取組
- 本人からの申出
- 措置等の検討と実施
- 両立支援の特性を踏まえた対応
- 個別事例への配慮
- 対象者・対応方法の明確化
- 個人情報の保護
- 関係者間の連携
中でも特に押さえておきたいのは次の点です。
- 申出はあくまで従業員本人からが原則。会社は、申出しやすい環境づくりに取り組みましょう。
- 安易な就業禁止は避け、配置転換や業務調整など、できる限り就業機会を確保する方向での検討が求められます。
- 時間的な制約だけでなく、業務遂行能力も含めた個別対応が重要です。
- 個人情報の取扱いには十分な配慮を。また、主治医・産業医・人事など関係者間の連携も欠かせません。
「何か問題が起きてから慌てる」のではなく、日頃から相談しやすい空気をつくっておくこと。
これが、結果的に会社と従業員の双方を守ることにつながります。
3.会社として整えておきたい環境
従業員の方が安心して申出を行えるよう、治療と就業の両立を支援する環境を整えておくことが大切です。
今回公表された指針では5つの取組が示されています。
すべてを一度に整える必要はありませんので、自社の状況に合わせて少しずつ取り組んでいきましょう。
① 方針の明確化と周知
「治療しながら働くことを支援する」という会社の姿勢を、方針として明文化し、社内に周知します。
職場全体で理解を共有することが重要です。
② 研修などによる意識づくり
管理職や同僚も含めて、正しい理解を持つことが欠かせません。
外部セミナーの活用や簡単な資料による社内周知など、できることから始めてみましょう。
③ 相談窓口の明確化
両立支援は申出が前提となるため、安心して相談できる窓口をあらかじめ決めておきます。
人事・総務担当者や産業医、既存の相談窓口の活用も有効です。
④ 制度・体制の整備
時間単位の年休、時差出勤、短時間勤務、テレワークなど、柔軟に働ける制度の導入が望まれます。
自社の実情に合わせて検討していきましょう。
⑤ 社内外の連携
産業医や主治医との連携に加え、労働局や産業保健総合支援センターなどの外部機関を活用することも有効です。
必要に応じて「両立支援コーディネーター」などの専門家を活用することで、より実務に即した対応がしやすくなります。
4.おわりに
両立支援は個別性が高いため、実際に運用する場面では様々な配慮が必要となります。
今回の努力義務化は、すべてを一度に整備するよう求めるものではありません。
まずは、自社の相談体制や制度の運用状況を見直すところから始めてみてはいかがでしょうか。
無理のない範囲で、一歩ずつ整えていくことが大切です。
制度の整備や従業員対応についてお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
参考リンク(公式サイト)
厚生労働省
治療と仕事の両立について
治療と仕事の両立支援指針の検討
治療と就業の両立支援指針
治療と就業の両立支援指針 周知リーフレット
治療しながら働く人を応援するポータルサイト
治療と仕事の両立支援ナビ
両立支援コーディネーターについて

