東京都「中小企業の賃金事情(令和7年版)」が公表されました
2026年がスタートしました。
今年も本コラムでは、皆さまの経営や人事のご判断に少しでもお役立ていただける情報を、分かりやすくお届けしてまいります。
さて、年が明けると耳にする機会が増えてくるのが「春闘」のニュースです。
昨今は、物価の上昇や最低賃金の引上げが続く中で、
「今の賃金水準で本当に問題はないのだろうか」
「他の会社はどのくらいの水準で支払っているのだろう」
と感じていらっしゃる経営者の方も多いのではないでしょうか。
賃金の話題は、社員の生活にも、会社経営にも直結する重要なテーマです。
一方で、判断が難しく、つい後回しになってしまいがちな分野でもあります。
そこで本コラムでは、昨年12月に東京都が公表した「中小企業の賃金事情(令和7年版)」をもとに、
都内中小企業の賃金水準や働き方の実態について、
経営判断のヒントとしてご覧いただけるよう、分かりやすくご紹介します。
1.はじめに
この調査は、東京都内の従業員10~299人規模の中小企業を対象に、
賃金や昇給、労働時間、休暇の状況などをまとめたものです。
大企業のデータではなく、
私たちが日頃ご相談を受けることの多い中小・零細企業に近い実態が反映されている点が特徴です。
今回は賃金情報に焦点を当ててご紹介したいと思います。
2.中小企業の平均賃金
調査によると、中小企業の所定内賃金(月額)は平均で約39万円、
残業代などを含めると、月額で約42万円程度となっています。
下のグラフからも分かるように、平均賃金は上昇を続けています。

※数値は平均値であり、業種・企業規模等により差があります
もちろん、これはあくまで「平均値」です。
この金額が正解というわけではありませんが、
自社の賃金が全体の中でどの位置にあるのかを考えるための、ひとつの目安として参考になる数字といえるでしょう。
3.過去最高水準の初任給
今回の調査では、初任給についても上昇傾向が続いており、
いずれの学歴においても前年に行われた調査よりも上昇し、過去最高額※を記録しました。
(※初任給の統計値が現行の形式となった平成11年調査以降の調査においての最高額)

※数値は平均値であり、業種・企業規模等により差があります
「新卒採用をしていないから関係ない」と感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、
初任給の上昇は、既存社員とのバランスや今後の賃金設計にも影響します。
採用の有無にかかわらず、現在の人材市場の動きを知る背景資料として、押さえておきたいポイントです。
4.賃上げの動きは継続中
昇給について見ると、定期昇給を実施した企業は約7割、ベースアップを行った企業も半数を超えているという結果になっています。


いずれも昨年度と同様に高水準を維持しており、
中小企業でも賃上げの流れが続いていることがうかがえます。
一方で、その内容は、最低賃金の引き上げへの対応や、人手不足を背景とした対応など、
必要に迫られて行われた限定的な賃上げとなっている企業も少なくない印象です。
今後は、単なる「引き上げ対応」にとどまらず、
自社の経営状況や人材確保の観点から、どのような賃金設計が必要かを考えていくことが求められそうです。
5.さいごに
今回の調査結果からは、中小・零細企業でも、平均賃金の上昇や賃上げの継続、初任給が過去最高水準を記録といった現状が確認できました。
ただし、これらの結果は「すぐに賃金を上げなければならない」という結論を出すためのものではありません。
まずは、
・自社の立ち位置を知る
・社員に現状を説明する材料として活用する
・将来の方向性を考えるきっかけにする
といった形で、無理のない範囲で活用されてみてはいかがでしょうか。
賃金や働き方について考える際は、
公的なデータも参考にしながら、
それぞれの会社の実情に合った方法を考えることが大切です。
「うちの場合はどう考えればいいのか」と感じられた際は、どうぞお気軽にご相談ください。
参考リンク(公式サイト)
東京都庁総合HP
・産業労働局 中小企業の賃金事情(令和7年版)
・産業労働局 中小企業の賃金事情(令和7年版)PDF
・令和7年「中小企業の賃金事情」調査結果

