令和5年度の最低賃金引上げ目安について

立秋を過ぎ、暦の上では既に秋となりましたが、本当に今年は酷く暑い日が続いていますね。
毎年この時期といえば、最低賃金の引上げ目安についての話題を取り上げる時期です。

今年は先月28日に中央最低賃金審議会が行われ、
今年度の地域別最低賃金額改定の目安について答申が取りまとめられました。
毎年、都道府県の経済状態に応じてランク分けされた引き上げ額目安が示されますが
今年は下表の通りのA、B、C3つのランクで、
それぞれAランクは41円、Bランクは40円、Cランクランクは39円という引き上げ額が提示されました。

                                厚生労働省 報道発表資料「令和5年度地域別最低賃金額改定の目安について」より

この答申を参考に、各地方最低賃金審議会では、地域の諸事情を勘案して答申を行い、
各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することとなります。

既に今月に入って東京・神奈川・埼玉では目安通り現在の最低賃金を41円引き上げ
それぞれ、1,113円、1,112円、1,028円に改正すること
千葉では目安を超えて42円引き上げ、1,026円に改正することが適当であるとの答申が行われております。

今後は諸手続きを経て、最低賃金額が決定されますが、
現時点で上記の一都三県では、改正後の最低賃金額の発行日を10月1日に予定しています。

今年度の目安どおりに各都道府県で引上げが行われますと
全国の加重平均は1,002円となり、これまででの最高額となります。(引上げ率4.3%)
これは物価の高騰による労働者の生活への影響や、
今年の春闘での賃金の上昇率などを考慮したものとなったようです。

一方で、一昨年から続く最低賃金の大幅な引き上げは
中小企業・小規模事業者の経営環境が厳しさを増すことが懸念されると
各都県の審議会では議論がなされており、
国に対して賃金引上げの原資が確保できるような支援の継続的実施も強く要望しています。

国も先日、厚生労働大臣が、
賃上げしやすい環境整備とともに、生産性の向上による企業の体質強化の重要性に言及しており、
賃上げや設備投資に取り組んだ中小企業などを対象とする業務改善助成金の拡充が今後検討されるようです。

企業としては厳しい側面もある今回の決定ですが、
社内で新しい最低賃金を下回る方がいらっしゃらないかの確認とともに、
助成金の利用なども視野に入れ、10月以降への準備を進めてまいりましょう。

ご参考:
●厚労省
 令和5年度地域別最低賃金額改定の目安について
 令和5年8月8日 加藤大臣会見概要
 令和5年度地域別最低賃金の目安について(答申)
 最低賃金引上げ特設ページ
●東京労働局
 東京都最低賃金の41円引上げを答申
●神奈川労働局
 神奈川県最低賃金額41円の引上げへ
 神奈川県最低賃金の改正決定について(答申)
●埼玉労働局
 令和5年度埼玉県最低賃金の改正を答申 プレスリリース
●千葉労働局
 千葉県最低賃金の42円の引上げを答申 報道発表資料